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「なあ、アカを使ってやった事あるか?」 「アカ?」モエはトロンとした瞳で見上げる。「無い。あれって依存性あるんだよね?」 「さあ? オレも知らない」  それは嘘だ。  だが、言う必要はない。  ただ、モエやナナが日常的にアカを手にいれて服用していたら。安藤が居なくなった今、最悪の事態も考えられる。 「今日は、何時に終わる?」 「早くて19時」  女はウットリとした目で振り返る。  媚びる目。  それは、好きじゃない。 「じゃあ、駅前で待ってるよ」  女は不満そうに下唇を噛み締めるが、何も言わない。  賢明だ。それがプロってもんだ。  オレはモエを離して、かけてあるライダースジャケットを羽織る。 「まだ時間あるわよ」 「いや、ココではもうイイ。続きは後だ」  オレはモエの髪に、確かめるかのように口づける。  その行為に満足したのか、それ以上何も言わなかった。 「じゃ、仕事頑張って」  ああ、これじゃまたサクラに汚いって言われるかもな。
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