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ちなみにアザミとスイセンは、カップルではない。
男と女が夜に酒を呑んでいると、カップルと思われがちだが、その可能性はほとんどない。
何故なら、アザミと呼ばれた女性は真っ黒な髪を肩につくかつかないかぐらいのショートカットにしており、その日は白いワイシャツに黒いベスト、ピンストライプのズボンをはいていた。
暑いのかワイシャツは腕捲りをし、新卒のサラリーマンのような出で立ちだったからだ。
ただ1つ、左耳に7個もピアスしている以外は。
対するスイセン。
こちらはブラックのスーツ上下に紫のワイシャツをはだけさせ、覗いた首もとにはシルバーのネックレスが光っている。
髪は明るい茶色に染めており、整った顔をしているので、まるでホストのような出で立ちである。
「大体最初から気の乗らない話だったんだよ」
アザミは左肘で頬杖をしながら、またグラスを傾ける。
「まあしょうがないじゃん。ダイ君盲腸だってさ、ウケル」
スイセンはケラケラと他人事のように笑った。まあ実際他人事だけど。と付け加えてグラスを傾ける。
「マジ笑えないよ、一応ダイ君固定客多いんだから」
アザミは本当に困ったと頭を抱える。
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