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「一応あたれる人にはあたりましたよ。全員ダメだっただけですけど」
不満そうにスイセンが口を尖らせる。
「ユズコとレオルは予定があるって。他の二組は他の県にライブしに行ってる。」
アザミはポテトをつまみ、気だるそうに口にいれる。
「ただ、サザンカが前半の2時間だったら大丈夫だって」
「なら後半の2時間は、お前らがやればイイじゃないか?」
アザミとスイセンは他に仕事も持っているが、時間が合えばY'sのスタジオミュージシャンとしてバーやライブのセッティングを手伝っている。
他に4人のスタジオミュージシャンがいるが、代表としてアザミが話を聞くことが多い。
「そこまでは考えてるんだよ、マスター。ただ今のメンバーにはボーカルとして歌えるヤツがいないんだ」
「オレは顔出しNG ですしね」
ファン多いから。と自意識たっぷりに、スイセンは笑う。
「ボーカル不在も考えたけど、それで特別感を出すのは難しい。音楽ソフトに歌わせるにはまだまだレベルが足らない」
「ロベリア辺りが聞いたら怒り狂いそうな話ですがね。まだまだ人間様には勝てないんですよ。」
「昼間の連中には当たってないのか?」
眉間にシワを寄せながらマスターが言う。
「一応当たったよ」
「下の書類が残骸です」
「ふーん」
マスターはつまらそうに書類を一瞥するだけで、触りもしなかった。
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