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どどどどどっと弧を描いて倒れていく人たち。その中心部では機関銃を出鱈目に撃ちまくっている輩が居た。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるという諺があるが、三億居れば全弾命中。前を走っていた集団が一気に跡形なく散っていった。
「優勝は俺が貰ったぜえええ!!」
調子に乗って隙だらけの相手の頭にナイフを投げたら、見事命中。こめかみに突き刺さって相手は死んだ。続いて二殺。
ドロップした機関銃をゲットしたぼくはグリップを握り、即座に引き金を引く。
「うぎゃあ!!」
「ぐえっ!!」
周囲に気を配りながら、周囲を一掃する。自動で弾が込められ連射出来るだけあって、いくらでも殺せる。早くも何殺したのかわからなくなった。
「ふう」
全弾撃ち尽くして後ろを振り返れば、死屍累々。だが、視認出来る範囲の前方には誰も居ない。デスゲームが開始してまだ間もないが、参加者はスピーディーに大量殺戮されて殆ど脱落したようだ。
全人類、七十億人が二人一組でじゃんけんをしたとする。その場合、何回勝てば最後の一人になれるのか。答えは三十三回。意外と少ない回数で優勝が決まる。
三億人なら2のn乗――三十殺は優に超えているから、ぼく以外の全員が屍と化していても不思議じゃない。
けれど、これは一対一ではなく大乱戦なので、ぼくが殺した数だけで勝敗は決まらない。まだ生き残っている奴らが少なからず居る筈だ。
「……さてと」
死体からいくつかの武器を奪って、先を急ぐ。
ぼくは史上最速のスプリンターよりも速く闇の中を駆け抜ける。走る速度に関しては、皆大差ないのでそれでもトップに躍り出ることはない。
開始時に三億の列のどの辺りに自分が居たのかわからない。もう既に誰かがゴールしている可能性もある。その場合、今からどれだけ急いでも絶望しか待っていない。けれど、一縷の望みは捨てずに信じて走るしかない。
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