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 走って走って走って殺して走って殺して走って走って殺して殺して殺して走って走って殺して走って走って走って走って――  竹馬の友を人質に取られた羊飼いの青年よりも長い距離を走っているに違いない。  だんだんと夜が明けて、カーテンの隙間から陽が射してくるように周囲が明るくなってきた。さっきまで暗闇だったのが嘘のように。  ゴール地点には、女神という名の希望の光が待っている。走れ走れ、ゴールはもうすぐそこだ。 「クソッ!!」 「どうやって攻略すればいいんだよ!!」 「せっかくここまで来たのに」 「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない……」  ざっと数えて二百近く居る先頭集団に追いついた。間に合った。が、悪態や呪詛を吐く彼らの見上げる先にあるそれを目にして、 「嘘だろ……」  思わず、心が折れそうになる。ぼくらの前には、行く手を阻むように巨大な壁がそそり立っていた。  越えなければいけない。でも、越えられるのか?  目の前のそり立つ壁を攻略しない限り、女神の愛を享受することは不可能だ。けれど、クリア出来るのか? 「出来る出来ないじゃない……やるんだ!!」  この高く(そび)える壁の向こうに、ぼくらを愛し、ぼくらの愛する女神が待っているんだ! 「とりあえず、お前ら全員死ねえええええええ!!」  半ば発狂しながらロケットランチャーをぶっ放して皆殺しにしようとした彼を後ろから
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