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「あら・・・。嫌われちゃったかな?」
「お前、昨日空港で露骨にこの子を見下したからだろ?」
「なによ!なんでもかんでも私にせいにして!」
「いちいち怒るなよ。怒ったらブスになるんだから・・・」
旦那さんがまったりした声に対して、奥さんは金切り声で喧嘩している。
とにかく反応しないように前を見て、晴馬の肩に頭を乗せて、ピッタリとくっついた。
「恥晒しはもうやめようや・・・後ろに行くぞ」
「・・・つまんなぁぁい」
退散してくれる気配がして、ちょっとホッとした。
バスが動く前にその人たちは後部座席へと移動していった。
「・・・諦めてくれたかな」
「油断するなよ」
「うん」
* * * * 晴馬 * * * *
バスが動き始めた。今夜は晴れているから、オーロラが見やすいらしい。
太陽フレアが活発だから、高確率で見られるぞってガイドが言っていたが、どうだろう?
真っ暗い雪原の中の道を、バスが走っていく。
トイレ休憩用に寄せられた公園らしき場所で、僅かな光の帯が出ているとバスの運転手が指さした。
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