第3章 オーロラの下でやっちゃいました

13/40
前へ
/40ページ
次へ
「あら・・・。嫌われちゃったかな?」 「お前、昨日空港で露骨にこの子を見下したからだろ?」 「なによ!なんでもかんでも私にせいにして!」 「いちいち怒るなよ。怒ったらブスになるんだから・・・」 旦那さんがまったりした声に対して、奥さんは金切り声で喧嘩している。 とにかく反応しないように前を見て、晴馬の肩に頭を乗せて、ピッタリとくっついた。 「恥晒しはもうやめようや・・・後ろに行くぞ」 「・・・つまんなぁぁい」 退散してくれる気配がして、ちょっとホッとした。 バスが動く前にその人たちは後部座席へと移動していった。 「・・・諦めてくれたかな」 「油断するなよ」 「うん」 * * * * 晴馬 * * * * バスが動き始めた。今夜は晴れているから、オーロラが見やすいらしい。 太陽フレアが活発だから、高確率で見られるぞってガイドが言っていたが、どうだろう? 真っ暗い雪原の中の道を、バスが走っていく。 トイレ休憩用に寄せられた公園らしき場所で、僅かな光の帯が出ているとバスの運転手が指さした。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

228人が本棚に入れています
本棚に追加