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「とにかく、離れた方がいい」
初老の夫婦の旦那さんらしき人が俺達の間に入って、変な女を引き離してくれた。
「皆、楽しみに来た旅行なんだ。離れて、頭を冷やしましょう。そして、他人を必要以上に干渉しないこと。あなた達は、この夫婦に構わないで」
おっさんが相手側にそう指示を出してくれて、向こうの旦那が小刻みに頷きながら暴れる妻の両肩を掴んで連れて行った。
「災難だねぇ・・・。あの人たちを避けた方が良いよ」
「はい・・・ありがとうございます」
「奥さん、髪大丈夫だったかい?」
「あ、はい!大丈夫です・・・ありがとうございました」
「また来たら、すぐに助けるけど逃げた方が良いね」
「・・・ですね」
大人な人達の理解と協力があって、なんとか難を逃れられた・・・んだろうか?
油断できねぇ・・・・・
「大丈夫か?」
「・・・うん。びっくりした」
「もう髪の毛一本も触れさせないからな!」
「・・・あ、でも。あの奥さん、なんで怒ってるのかちょっとわかった気がする」
こんな目に遭っても、夏鈴は相手の気持ちに敏感だなんて信じられない。俺は耳を疑った。
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