幼馴染

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悠宇(ゆう)絢斗(あやと)慶次(けいじ)。 俺たち3人は小さい時から家が隣同士だった所謂幼馴染という奴だ。通う幼稚園も一緒で必然的に仲良くなり、親同士も馬があったのかよく家族ぐるみでピクニックや旅行に出かけたりしていた。 体が小さく病弱で泣き虫。いつも女の子に間違われるような絢斗に、同い年の中では飛び抜けて背が高く子供の頃から将来有望感を溢れ出していた人気者の慶次と、足が速いそれだけの理由でわりと女子からの人気が高かった俺が守るように傍に居る。それがお決まりのパターンだった。 そのスタイルは小学生に上がってもあまり変わらなかったが、俺たち…というか俺と絢斗の関係が少し変わったのが、第二次性徴期にあたる10歳の時だった。 「バース検査?」 「そうよ、明日ね。先生のお話聞いてなかったの?」 家族と夕御飯を食べていると母さんが味噌汁を手に持ったままそんなことを言ってきた。 バース検査…そういえば言っていた気がする。明日だったのか。ただ思うのは注射が心底嫌だということだけ。 「結果はすぐには分からないけど、悠宇は何かしらね」 「………」 「どうした、楽しみじゃないみたいだな。学校でそういう話にならないのか?」 「なるよ。でも俺あんま興味ない」 興味ない。父親の言葉に返したその台詞に嘘はないが、少し語弊があるかも知れない。 自分がアルファなのかオメガなのかベータなのか、そんなことには興味は無い。 ただ、絢斗と慶次のは気になった。自分のことより友達のことが気になるなんて我ながら変な子供だった思うが、検査結果によってはアイツらと離れ離れになる可能性もないとは言えない。 それが怖かった。
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