幼馴染

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なんのことかサッパリ分からない、という顔にイラっとしてデコピンをする。痛い、と唇を尖らせた絢斗はすぐにのほほんとした顔を引っ込め意地悪そうな表情を見せた。 「気持ちよかったね、昨日」 「………」 やっぱり分かってたんだ、こいつ。ほんと食えない奴。 「おーい!悠宇ー」 絢斗をジロリと睨むと、突然後方から名を呼ばれたものだから目つきの悪いまま顔を向けてしまった。そんな俺の表情に声を掛けてきた相手の足が止まる。 「怖…なに、また喧嘩でもしてたわけ?」 「してない。こいつのあざとさにイラっとしてただけだ」 「あざとくないもん。揶揄(からか)うのが面白いだけだもん」 「チッ」 「おいおい舌打ちすんなって。相変わらず仲良いことで…それよりさ悠宇、辞書貸してくんねえ?英語の」 俺たちの傍にやってきた生徒が申し訳なさそうな表情で俺を見た。 俺と同じ黒髪だが俺とは違って艶のある黒髪は、ワックスで前髪を流したりなんかしてメンズ雑誌の表紙でも飾っていそうなオシャレな雰囲気。 整えられた眉と切れ長の瞳の間は狭く、高い鼻筋はスッとマネキンのように通っている。 要は男前ってやつだ。 それも正統派の。
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