3 山 本(つづき)

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「貴方にだって、彼女が台所の掃除してるの見えてますよね。 だったらそんな所に置けば、邪魔だと思いませんか?」 洋二は、視線を落とし自分の足元を見つめたまま、 体が動かなくなってしまった。 そして、 どうしよう。 繰り返しその言葉だけが頭の中をグルグルと巡り、 痛いほどに動悸が速まっていく。 そんな彼の頭上から、あからさまに呆れた溜息が投げられた。 そしてその溜息だけを残して、木下が、その場から遠ざかっていく。 俺、やっぱりここから弾き出されるのか。 また俺は、失敗したのか。 台所の掃除をしながらチラチラと向けられる佐藤の視線が、 冷たく感じられる。 俯いたまま立ち尽くす洋二の指先が、小刻みに震えてきた。 自分は、たった一日すら、まともに作業することもできなかった。 そんな絶望にも似たものが、胸の内に広がり始める。
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