3 山 本(つづき)

2/22
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
説明と顔合わせ程度だった初日は、なんとか彼なりに無難に過ごせたと思う。 ただ、正直、説明会に遅れてきたチャラそうな二人を見た時は、 一番苦手なタイプなだけに、密かに動悸が激しくなった。 だが、幸いにもペンションでの同室も彼らではなく 穏やかそうな中年男性と大人しそうな大学生。 これには、心の底からホッとした。 しかし心配事というのは、案外、当たるものだと思う。 そして、恐れていた事が起こったのは、 翌日のボランティア初日のことだった。 ボランティア作業は、基本的には二班に分かれることになった。 その中で洋二は、「一班」と称された 香川という中年男性と同室の大学生、日辻。 そして、専門生だという女性二人と 大学生グループの一人、田中と一緒のグループ。 そして、 「何はともあれ、掃除がある程度進まないことには修繕もままならないので、 当面は、ひたすら清掃作業をして頂きます」 朝、彼たちを迎えに来た青年会の山崎から出発前に簡単な説明をされ、 ボランティアの面々は、昨日と同じマイクロバスに乗り込んだ。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!