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この日も、空が白っぽく霞むほど太陽が輝き、
大きな蝉しぐれが暑さを煽っていた。
その中、バスはペンションのある山を下りると、少し離れた里山へと向かう。
そして、その山の麓近くに、ポツリと見えて来た民家の前で静かに止まった。
「こちらが、一班の方たちの作業場所になります」
マイクロバスを止めた山崎が、全員を振り返って言う。
そして、二班の面々に車内で待つように続けた彼は、
洋二たち一班の人間を促して先にバスを降りて行った。
いったいこの家は、人が離れて、どれくらい経つのだろう。
庭だったのだろう場所には、落ち葉や枯れ枝などが転がり
家全体が煤けて見える。
そして、古い木製の引き戸の鍵を開け、
先導するように、山崎が玄関から続く薄暗い土間へと入っていく。
うわぁ……。
踏み入れた広い土間に立ち、思わず数人の声が重なった。
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