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それに、早くも我に返ったらしい専門生たち二人が反応した。
「じゃあ、キッチンもあるでしょうから、私たちは、下をやります。ね?」
木下の言葉に、友人の佐藤も頷く。
「よし。じゃあ、もう一人……、えっと山本くんだっけ。
彼女たちと一緒に、下の方をお願いできるかな?」
偶然、彼女たちと隣り合わせて立っていたせいだろう。
いきなり指名をされ、動揺に大きく洋二の胸が跳ねた。
だが、ここまで来て、逃げ出すわけにもいかない。
洋二は、執拗に胸を叩き始めた心臓を抑えつけ、
やや視線を俯せたままで小さくコクンと頷いた。
しかし頷いたものの、何をどうすれば良いのか
洋二には全くわからない。
その上、残りの男性三人が二階へと上がってしまうと、
隣に立つ二人との距離が急に密度を増したように感じて
不安が大きくなっていく。
そして間もなく、彼の不安が徐々に具現化へと形を変え始めた。
「えっと、山本さん。木下と佐藤です」
よろしく。
改めて自己紹介をされ、洋二もモゴモゴと口の中で呟くように
「よろしく」と返す。
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