3 山 本(つづき)

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それに、早くも我に返ったらしい専門生たち二人が反応した。 「じゃあ、キッチンもあるでしょうから、私たちは、下をやります。ね?」 木下の言葉に、友人の佐藤も頷く。 「よし。じゃあ、もう一人……、えっと山本くんだっけ。 彼女たちと一緒に、下の方をお願いできるかな?」 偶然、彼女たちと隣り合わせて立っていたせいだろう。 いきなり指名をされ、動揺に大きく洋二の胸が跳ねた。 だが、ここまで来て、逃げ出すわけにもいかない。 洋二は、執拗に胸を叩き始めた心臓を抑えつけ、 やや視線を俯せたままで小さくコクンと頷いた。 しかし頷いたものの、何をどうすれば良いのか 洋二には全くわからない。 その上、残りの男性三人が二階へと上がってしまうと、 隣に立つ二人との距離が急に密度を増したように感じて 不安が大きくなっていく。 そして間もなく、彼の不安が徐々に具現化へと形を変え始めた。 「えっと、山本さん。木下と佐藤です」 よろしく。 改めて自己紹介をされ、洋二もモゴモゴと口の中で呟くように 「よろしく」と返す。
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