3 山 本(つづき)

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そして、恐らく木下という女性は、仕切り屋気質なのだろう。 「トモちゃん、先にキッチンのほう始めてくれる?  私、食器類なんかを全部出して箱詰めにしちゃうから」 それに彼女の友人が頷くと、彼女は、洋二の方へと視線を向けてくる。 「それと、山本さんは襖とか大きな物を外してもらえますか?  あっ、それと、まずは雨戸を開けてもらえると助かります」 洋二は、黙って頷きながら、胸の内で自分に言い聞かせるように呟いた。 雨戸と襖。雨戸と襖。雨戸と襖……。 だが、必死にこの場をこなそうとする彼に、 木下はニッコリしながら、マスクとゴーグルそして軍手を差し出してくる。 しかし洋二は、礼の言葉も口に出来ぬほど一杯いっぱいだった。 だから、辛うじて微かに頭を下げてそれらを受け取り、再び胸の内で呟く。 雨戸と襖。雨戸と襖……。 そして言われた通り、早速、雨戸を開けにかかる。 だが、古さと放置のせいだろう。 少し空けた雨戸の縁に手を掛けた瞬間、棘が彼の指先に刺さった。
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