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通話を遮断され、本田は肩を落として椅子に座った。
なんだってこんな事になったのか……。
神藤がいれば早期解決を期待できたのに……。
そう思うと、発狂したい気分に駆られる。
──どの道、明後日には日本に戻ってくるだろう……。
そう言い聞かせて、冷静さを取り戻そうとした。
「とにかく今日は部屋を用意しますから休んでください。明日、明るくなったらまた捜査を開始しますから、何か分かり次第お話します」
そう告げた本田に、彩香は瞬きもせずに視線を送り続ける。
本田は困惑して目を逸らした。
「なにかついてますか?」
そんな本田に対して、彩香は無表情のまま口を開いた。
「いえ。ただ…父の帰国を待っていたら犯人は捕まえられないのでは…と、思いまして」
そう伝えれば、本田と五十嵐が動揺の色を浮かべて彩香を見る。
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