菜の花の川

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菜の花の川

耕作は夢を見ていた。 夢の中で、幼馴染の清が幼い姿のまま、こちらに手を振って笑っていた。 「耕ちゃん、耕ちゃん。」 笑顔で手を振る清に、耕作はゆっくりと近づいて行く。 「耕ちゃん、今日は俺はさよならを言いに来たんだ。」 「なんでだ?清。」 耕作の問いかけに、清は黙って微笑んでいる。 「清、お前はどこへ行くんな?」 そう言い、さらに清に近づこうとすると、清は悲しそうな顔で首を振った。 「耕ちゃんは、まだこっちへ来たらいかんよ。これを、俺だと思って、持っていて欲しいんだ。」 そう言って、清が自ら耕作に近づいてきてある物を手渡してきた。 それは、人の心臓であった。 耕作は、驚いて、そこではっと目を覚ました。 「夢か。」 耕作は、寝床から半身を起こすと、ふうっと深い溜息をついた。 耕作は、文机の引き出しをそっと開けると、そこには心臓ではなく、清が出兵する前に手渡してきたハーモニカが、窓からの日差しを浴びてキラリと光った。     
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