2人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
こんなやり取りが、ひどく懐かしかった。
そして、相変わらず危なっかしい手つきで新たに窓枠を組み始めた新人に、
要所でアドバイスを入れる自分が、なんとなく不思議で
どこかすごく心地好い。
こうして、新たな窓枠と飾り枠が、
恐らく、保がやる三倍以上の時間を掛けて完成した。
「うん、うん。キレイに出来たよ。じゃあ、ガラス入れてごらん」
はい。
素直に頷いた新人大工がガラスを入れてみると、
朝までの開け難さが嘘のように、スムーズにガラスは滑るようになった。
「よし。じゃあ、天袋の天井板を全部変えとけ」
はい。
大きな声で返事をした新人大工が、部屋を駆け出て行く。
その姿が見えなくなって間もなく、
作業を続けたまま、ポツリとベテラン大工に尋ねられた。
最初のコメントを投稿しよう!