4 香 川(つづき)

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「足、っすか……?」 音がしそうな程、ギクッと保の胸が軋んだ。 だが今度は、動揺はせずにゆっくりと彼を振り返る。 「三年前に、仕事中の事故で……」 そうですか。 呟くように言った大工は、ふと作業の手を止める。 そして、真っ直ぐに保に目を向けてきた。 「でも、良い腕してるじゃないですか」 「どうも。けど、俺なんかができる現場作業は限られるもんで、 却って仲間の足手まといになりますから」 短い会話を止めるように、ベニヤ板を抱えた新人が戻ってくる。 「ま、でも、コイツの作業を少し手伝ってやってもらえると助かります」 よろしくお願いします。 まだ十代だろう若者にも頭を下げられ、保は、曖昧に淡く苦笑を返した。
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