第五章 依頼はバーベキュー?

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「よし、仕事だ。九郎、出かけるぞ」  イスから立ち上がり、イスの背に掛けてあるジャケットに袖を通す。 「どちらへ?」  九郎が尋ねる。 「博物館だ。古代エジプトのミイラに会いに行くぞ。まあ、会えたらの話だけどな」 「ミイラ……ですか?」 「道明、詳しい話を聞かせろ」  九郎の顔が曇り、狐白が興味深そうに身を乗り出す。 「博物館からミイラが逃げ出したそうだ。誰かのイタズラなのか、それともミイラが眠りから目覚めたのかは知らないが、とにかく大事件だ」 「それでここに連絡にしたのか?」  巳雷が呆れたように言う。盗難や窃盗なら警察の仕事だ。 「博物館で働いている知り合いがいるんだ。それに、これは表沙汰にできない事件だからな。だいたいミイラが逃げ出したなんて警察に言えるか? 警察には盗まれたと言ってるが、実際にミイラが動き出すのを見た職員がいるそうだ」  道明は事務所のドアへと向かい、九郎もそれに続く。 「待て、我も行こう」 狐白がソファから立ち上がった。 「お前も行くのか?」  巳雷は狐白を見上げた。 「あんまり金にはならないぞ」  道明の冷やかし。 「世の中には金で買えぬものもある。甦ったミイラなどその最たるものではないか?」  道明は狐白の言葉に微笑む。 「巳雷、どうする? 一人で留守番するか?」  道明は巳雷に確認する。三人も四人も大きな違いはない。 「俺も行く」  巳雷が立ち上がった。 「ちなみに子どもは入館無料だから安心しろ」  再び道明の冷やかし。 「誰が子どもだ。誰が」  巳雷が冷めた声で返答する。 「冗談だよ。よし、それじゃ、決まりだな」  道明は玄関のドアに出張の札を掛けて事務所をあとにした。  この世には人ならざる存在が人知れず跋扈している。ある存在は人に災いをなし、人の営みを脅かす。またある存在は人に寄り添い、人の営みを助ける。人間が存在し続けるかぎり、霊や妖怪のような怪異もまた存在し続ける。道明の仕事に終わりはない。

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