その一

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 それから「パオーン、パオーン。」二人は、叫びながら手を広げパンツ一枚でみんなのいる広場へ走り出した。    今日の遠足は、現地集合なので、近所のあつし君とようこちゃんとそのお母さんたちと一緒に和歌山市駅へバスでやってきて、そこからみさき公園まで特急電車でたったの一駅、15分ぐらいで到着。  電車のニックネームは、「アオムシ」。モンシロチョウの幼虫になんとなく似ていることからみんなそう呼んでいる。薄緑色の車体に濃い緑のラインが1本入っている。形は、流線型。とってもかっこいい。おまけにロマンスシート。赤いシートの上には白いビニルカバーが掛かっている。電車の中で、子どもたちは、リズムに乗せて [♪なん、なん、なんかいでんしゃ、みなみのうみをはしってく♪]何回も何回も歌っている。昨日の夕方、テレビで月光仮面の後、コマーシャルでも歌っていたあの歌だ。子どもたちは、すっかり覚えてしまっている。歌っている間にみさき公園駅に到着。〈ブッシュー〉ドアの開く音と一緒にたくさんの人がホームに掃き出されてくる。ほとんどがみさき公園に遊びに来た人たちだ。小学生の姿も見える。ぼくは、お母さんに手を引かれホームへジャンプ。開園してから2年目。夢の遊園地へ入場だ!ぞうさんのいる場所へゴー。パオーン!
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