その二

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その二

 早いもので、あれからもう15年が経ち、今は、21才。青春真っ只中。ここは、みさき公園にある観光灯台。目の前は、ほぼ海。遠くに淡路島がくっきり見える。幼稚園の頃や小学校の頃は来なかったこの灯台は、公園内の一番奥にある。今日は、横にいる洋子(ようこ)さんと二人でやってきた。  洋子さんと言えば、幼稚園、小学校が一緒だった。そこからの記憶はなかったのだが、大学の近くのスーパーでアルバイトをしていて、偶然知り合った。それも、レジの交替の時に目と目が合い、どこかで見た女性だなあと思いながら、一週間後、気がつくと同じ学部で同じ学年で同じ授業を受けていた。授業の後、声をかけると彼女も気になっていたそうで話が弾み、話題は、幼稚園の頃の遠足で盛り上がり、二人でもう一度来ることに。  特急電車でなく、私のベテラン(ポンコツ)軽四で来たことが間違いだった。電車なら待ち合わせ場所から20分で来れるはずが、和歌山県と大阪府の境、きよし峠の渋滞でラジオしかかからない狭い車の中で1時間以上。そのうち、話をすることなく二人ともぐったり。駐車場から広場の芝生を横目に10分ほど歩き、灯台に。ここは、恋人同士がよく来る場所と聞いている。一番いい雰囲気を作るには、海に沈む夕日を見ることと思いつつ、まだお昼過ぎ。肩を並べ、海に浮かぶ船
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