その二

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を見ながら手をそっと差し出すと、 「あなたとはそんな関係になりたくないの。いつまでも友達でいる方がいいの。」強い口調で言いながら手を払われ、 「あっ、そう。」  お昼ご飯を食べていないから、イライラしているのかと思い、 「レストランでお昼にしよう。」と誘うと、 「お弁当持ってきてるの、二人分。朝から作ったんよ。」  幼稚園の頃は、一緒に食べてくれなかったのに。相当しつこく覚えている。でも、今の言葉は、胸が苦しくなるほどうれしい。思い出の広場でお弁当を広げると、何と!たまご焼きとウインナー、海苔で巻いたおにぎりが入っている。 「いただきます。」、「どうぞ。」  お茶も入れてもらい、夢のようなひとときを過ごしながら、幼稚園の遠足のとき、裸で走り回っていたことを思い出す。あのときは、神前家(かみまえけ)の恥と母親にものすごく怒られた。しばらく口をきいてくれなかった。彼女も少し覚えていたらしい。変な男の子のイメージを
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