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思わず聞いてしまってから後悔をした。
そんなの答えは決まっているのに。
だが、巧斗は「ううん。ちゃう」とだけ答えた。
「おーい、肉焼けたぞー!」
太一さんの声に弾かれるようにして巧斗は立ち上がった。
「行こう」
「う、うん」
太一さんの焼いたお肉も、美優達が釣った魚もとても美味しかった。
けれど、私の頭の中にはグルグルと巧斗の言葉が回っていて、お腹は空いていた筈なのにあまり食べることが出来なかった。
2人は同じ高校に行くのではないの?
ほんの少しだけ、2人が別れたのではないかと期待してしまった。
だが、帰りの車内で2人が夏休み中、何処へ行こうか、などと話をしているのを聞いて、そんなわけないかと落胆した。
私は好きな人の幸せも願えない最低の人間なのだと再確認した。
受験に影響するから2学期から学校には行こうと決心したが、何故私はここにいるのだろうと手にしたりんご飴を見ながら考える。
この夏休み、私は美優からイベントに尽く誘われた。
今日はこの辺では1番大きなお祭りに誘われ、テンションの上がった母に浴衣まで着させられた。
そして、いつもの4人で屋台が並んだ道を歩く。
「来那の浴衣可愛いね。私も蝶々が良かったなぁ」
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