ずっと待ってるから

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 少し自転車を走らせると、後ろを振り向く。  離れていく巧斗の背中を見つめながら、諦めなければ。と、何度となく言い聞かせてきた言葉を心の中で呟く。  高校には各地域から生徒が集まっていて、1学年の人数は男女合わせて200人近くいる。  新しい恋をしよう、そう思った。  高校2年の夏、私に初めての彼氏が出来た。  同じ写真部に所属するひとつ学年が上の先輩で、とても優しい人だった。  私に彼氏が出来ると、クラスが分かれた事もあり、必然的に巧斗との距離は離れていった。  朝、私は巧斗よりも1本早い電車に乗った。帰りも部活が終わると駅前で先輩とお茶をして帰ることが多くなり、巧斗の姿を見るのは部活の時だけになった。  物理的に離れれば、気持ちも離れると思っていた。  けれど、気がつけば巧斗の姿を視線の端に追いかけてしまう。  先輩との交際は順調に進んでいた。  手を繋ぎ、キスをした。  けれど、巧斗を想う時の心臓を鷲掴むような激しい胸の痛みを感じる事はなかった。  私はまだ巧斗の事を好きなのだと思い知らされるだけで、そのうち先輩に恋心ではなく罪悪感が募るようになった。  そんなある日、久しぶりに帰りの電車で巧斗と会った。     
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