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私は何も答えず、ただただ布団の中で震えていた。
嫌い。
嫉妬に染まるこの心が、自分が大嫌い。
皆は私が学校に行かなくなった理由を勘違いしている。
少し前、私は壮に告白をされ、断った。
その日から私は壮に無視されるようになったから、そのせいで学校に来なくなったと思っているのだ。
2人が帰ると、母が部屋にやってきた。
「壮くんももう気にしてないって言ってたわ。土曜日皆で遊んで来なさい。そこで仲直りしたらいいわ」
そうではない。
そうではないのに……。
けれど、本当の理由を言うわけにもいかず、私は仕方なく首を縦に振った。
土曜日、朝早くに美優、巧斗、壮の3人が壮のお父さんの車で迎えに来た。
「……よう」
私の顔を見た壮が、バツが悪そうな顔をして右手を上げた。
「おはよ……」
そう答えると美優が不必要な程に明るい声を出した。
「今日はいっぱい遊んで、いっぱい魚も釣って食べよ! 太一さんがお肉も持ってきてくれたんだよ!」
太一さんとは、壮のお父さんのことだ。
美優が私の肩を抱き、車へと歩く。
「来那、大丈夫か?」
美優の隣を歩いていた巧斗が聞いてきた。
その声が優しすぎて、泣きそうになる。
「大丈夫やで」
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