14人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーー
ーーーー
ーーーーー
「おい。 辰彦。よく聴け」
「ん~? だれだ?」
僕は誰かに声をかけられて、目を開けようとした
「いや、目は開けるな。 目を開けたら私が見えないだろう」
「えーと… どういう意味?」
「心の目を開けろ。いつもやっているだろう?」
えー、何、その中二病的な言い方。
僕、中二どころか、もう良い大人なんだけど?
今年年男の36才なんだけど?
「むぅ。もう開いているようだ。ほら、私が見えるだろう?」
声の主が言う。
僕が心の目を開けると(瞼は閉じているけど、意識はしっかりある、っていう状態だね)
うっすらと丸くて白い光が見えた。
なんだろう?
ふわふわと浮いているみたいだ。
「もしかして、この白いマリモが話しかけてる?」
僕の言葉に、マリモが反応した。
「そうだ。私だ。マリモではないがな…」
うーん、確かに白いマリモはないよね。
じゃあ、君はだれだ?
僕の心の声に、マリモは答えてくれた。
「私に名前はない。私は私でしかない」
それなら、マリモでもいいんじゃないかな…
そう思ってみたけど、マリモは今の言葉には反応しない。
「あのさ、何の用?」
僕が尋ねると、マリモはふわふわと浮きながらきっぱり、はっきり、宣告した。
最初のコメントを投稿しよう!