プロローグ

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ーーー ーーーー ーーーーー 「おい。 辰彦。よく聴け」 「ん~? だれだ?」 僕は誰かに声をかけられて、目を開けようとした 「いや、目は開けるな。 目を開けたら私が見えないだろう」 「えーと… どういう意味?」 「心の目を開けろ。いつもやっているだろう?」 えー、何、その中二病的な言い方。 僕、中二どころか、もう良い大人なんだけど? 今年年男の36才なんだけど? 「むぅ。もう開いているようだ。ほら、私が見えるだろう?」 声の主が言う。 僕が心の目を開けると(瞼は閉じているけど、意識はしっかりある、っていう状態だね) うっすらと丸くて白い光が見えた。 なんだろう? ふわふわと浮いているみたいだ。 「もしかして、この白いマリモが話しかけてる?」 僕の言葉に、マリモが反応した。 「そうだ。私だ。マリモではないがな…」 うーん、確かに白いマリモはないよね。 じゃあ、君はだれだ? 僕の心の声に、マリモは答えてくれた。 「私に名前はない。私は私でしかない」 それなら、マリモでもいいんじゃないかな… そう思ってみたけど、マリモは今の言葉には反応しない。 「あのさ、何の用?」 僕が尋ねると、マリモはふわふわと浮きながらきっぱり、はっきり、宣告した。
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