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廊下に出るとあちこちから部活動に勤しむ人たちの声が響いていた。
運動部の大きな声援やどこかの教室で練習しているのだろう、吹奏楽部が奏でる楽器の音色に耳を澄ませる。
『うーん....やっぱり部活って楽しそうー。』
下に見えるグラウンドでは女子ソフトボール部の人たちが楽しそうに笑いながらバットを降っている。
ああいうのを見ると、少し羨ましくなってしまう。
「まだいってんのか?しつけぇな、今さら言ったってしょうがないだろ?」
『まぁ、それもそうなんだけど.....でも羨ましいんだもん。友達と汗を流したり、何かを取り組んだりするのって青春ぽいでしょ?』
なにも部活動じゃなくてもいい。
学生の内にしかできないことに取り組んで切磋琢磨するのが“青春”というものだと思う。
四月の部活動見学で興味のそそられる部活がなくて結局入らなかったけど、やっぱり入っておけばよかったとちょいちょい後悔してしまう。
「あっそ、悪かったな。俺とじゃあ青春ぽいことできなくて。ならこれから一緒に走りにいくか?ん?」
『いやいや!!そんなこと言ってないし、楽しいよ!!それに私が青春ぽいことしたいのは女の子の友達とだから。カイは別!!』
少しイラついたような声色のカイに、慌てて弁解する。
この人はちょっとでも自分を否定されるとすぐムッとする、こういうところがめんどくさい。
「.....お前、いまめんどくさいって思っただろ。」
『えっ!?』
「顔にでてんだよ!」
そう言うと途端に早歩きになり、先に行ってしまった。
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