【大切な人】

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カイのお父さんは実業家で、かなりの収入を得ている。 といっても収入が大きいと聞いたわけじゃない、この家の規模と家の中に飾られている装飾品の数々で何となく分かる。 隣にある私の家が余計に小さく見えるくらいに大きい家、三人しか住んでないのにその倍以上ある部屋数には本当に驚いた。 使ってない部屋を見るたびに思わず「無駄」の二文字が浮かぶ。 「チサト、何飲む?」 リビングのソファで惚けていると、キッチンからカイが顔を覗かせた。 近づくと冷蔵庫の扉をあけ、並んでいるペットボトルを指差して選べと促してくる。 『えーと......じゃあ紅茶で、』 「まぁそうだと思ってた。」 私が選んだ紅茶と自分が選んだ飲み物をコップにあけ、おぼんにのせるカイ。 そのまま飲もうとしないところが育ちのよさの違いだろう。
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