第1章 切っ掛け

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夜中にトイレへ行きたくて目が覚めた。 この歳になるとトイレが近くなって嫌ね、と内心愚痴りながら、冷える廊下へ出て凍える足先へ叱咤し、無事に目的地へと着いて用を済ませると、トイレよりも奥にある息子の扉が少し開いている事に気がついた。 ドアの隙間から、女の子の声が聞こえる。 ちょうど深夜だし、あの子も年頃だし、と言ってももう40近い立派なオッさんだが、母親に見られて困る類の映像でもこっそり見ているのかしら、知らぬふりで自室へ戻るべきかと頭を過ぎったが、好奇心は息子の部屋へと足を運ばせる。 ダメ、ダメよ米子と心で言いながら隙間から覗けば、テレビには制服っぽい衣装を着た女の子。
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