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「俺に手を出すってか?」
「もしかしてお前のママに言いつけるか? おいおい、ここに親を持ち出すのか? 俺らの流儀じゃねぇな」
もちろんそうだ。俺たちの流儀じゃないし、俺が一番嫌いなことだ。
「聞くまでもないんじゃないか? 構わないさ、ただでヤれるとはそっちも思ってないだろ?」
「まぁな。でも楽しませてもらうぜ」
真後ろに2人いた。周りのやつらには怖気づいてるのもいる。俺の派閥とやらもいるし。それでもテリーはやめる気なんか無いだろう。
俺たちは依存し合っているから、はみだしもんからはみ出す者が出るのを許さない。怖いからだ、最後の一人になるのが。
テリーの殴りかかってくるのを躱す。こいつは昔っからケンカは下手だ。腹に一発入れただけで倒れ込んだ。頭と口は切れるが、体は役立たず。
問題は後ろの二人。ゲイルもシドも完ぺきなテリー派でケンカは強い。倒れたテリーが叫ぶ。
「コイツが抜けるのを黙って見てるつもりか! 一人許せば次々抜けてくぞ! お前らそれでいいのかよ!」
こうやって見てみれば何てちっぽけな世界に寄っかかってきたんだろう。割いた時間がバカみたいだ。ってことは俺が一番バカか?
テリーに煽られて他の連中も囲み始めた。元々それほど心分かち合ってる訳じゃない。あっという間に互いの薄っぺらな絆なんて切れちまう。
囲んでるのは5人。俺にだってこれを突破するのが無理なのは分かってる。もう少ししたらもっと集まるだろう。その前に片を付けるか、頭数を減らさなきゃならない。
俺は一番手っ取り早い方法を選んだ。振り向いた時にはシドの玉を蹴り上げていた。こいつは手が早い。先に潰した方がいい。足は止めずにゲイルの股に蹴り込む。サッカーで鍛え上げてるから当分は使いもんにならないだろう。
「俺をヤるって? ヤッてみろよ、そのふにゃチンで」
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