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 俺たちははみ出しもんの大学2年だ。真面目なヤツが敬遠するグループ。別に頭は決まってないが、暗黙の了解で俺ってことになってるらしい。  俺たちは成績はそこそこいい。俺がバカが嫌いだからだ。バカと一緒にいると疲れる。だからグループからソッポ向かれるのが怖くって、やつらは授業だけは真面目に受ける。  俺たちの居場所なんてどこにもないからな、みんなこの閉鎖的なグループに縋り付いてるのさ。ま、人のことは言えないけど。  いろんな悪さをやってるが、俺たちの目下の遊びは男たちを襲うことだ。女は面倒だ。下手すると警察沙汰だし、間違って子どもでも出来たら目も当てられない。  一目置かれてるヤツとか、チャーリーみたいなお高くとまってるヤツをターゲットにするのが面白い。本人も訴えないし。  そいつは カイ という名前だった。手が長くって、布に巻かれた湾曲した細い棒を持ち歩いている。  髪は少し長いダークブラウン。背筋がピンと伸びて、そのせいで余計細くて高い背が強調されている。 「カイ、あんたカイってんだろ?」  知らん振りをして脇を通り過ぎていく。こいつもか。お高くとまってやがる。前に出て腕を掴んで怒鳴った。 「無視かよ!」  足が止まってカイは俺をまっすぐ見下ろした。不思議な物を見るような顔。首を傾げて俺を見ている。 「カイだな?」  しっかりと頷いた。ハーフってだけあって、ルックスはいい。 「俺はキースだ。知ってるだろ?」  自分で言っちゃなんだが、俺を知らないヤツはいない。女たちは俺を見て騒ぐし、男どもは慌てて方向転換する。教師なんざ顔を背けるが、俺は成績だけはトップクラスだから文句言うヤツはいない。バカでいることがどんなに愚かか。それが分からないヤツを、バカって言うんだ。    
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