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シャワーを浴び
何を着るか今更悩む。
(さっきまで着ていたワンピース?)
タオル一枚で立ち往生していると
冷えて、くしゃみが出た。
「おい」
不意に声がし、振り向こうとした瞬間
後ろから裸の肩にガウンがかけられた。
「風邪をひくぞ」
「あ」
「すまない」
灘さんは目をそらした。
「長すぎるし、咳をしていたから。
大丈夫か?」
「はい」
「湯冷めをしている。
暖め直すか」
私は指を見せた。
「もう、ふやふやです」
「ぶっ」
灘さんは吹き出した。
「君はかわいいな」
「え」
「こちらが考えていることと違う答えが返ってくるのに
こんなにも許せるのは何故なのだろうか」
灘さんは優しく私の髪を拭く。
タオルで挟み、ぽんぽんと拭く。
鏡台の前に座らせ
ガウンを羽織らせ
丁寧に水気を拭き取った。
「すっぴんで恥ずかしいです」
「だが、この顔を見ていいのは俺だけだ」
「灘さん……」
「君のおじいさんに渡されていた写真によく似ている」
「え」
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