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〈シャルside〉
私は第二王女。
幼い頃は皆に可愛がってもらって生きてきたのだが十歳になる頃に国のために出来る事をと勉強し始めて、この国が常に魔王の脅威にさらされている事を知った。
私の家族は、現国王の父、王子の兄、王女の姉、そして愚妹の家族構成となっている。
母は私の愚妹を産んである年に亡くなった。父や姉は悲しんだが私と兄は泣かなかった、いや泣けなかった。
その母は私の母ではなく義母だったからだ。
私は兄と血が繋がっていて、姉と愚妹は血が繋がっていない。
姉と愚妹の母が第一妃、私と兄の母は第二妃となっていて他の貴族からは疎まれている。
何故かと言われると母は元々は平民の出らしいのだがお忍びの父に結婚を申し付けられたらしく後で王様と知った時は驚いたらしい。
そして私の母は第一妃が死ぬ数年前に死んでいる、原因は分からずじまいで自殺とまで言われたぐらいだ。
その時は滅多に泣かなかった兄が泣いた事を私は初めて驚いた。兄は誰にでも公平なお方で貴族や平民までもが羨望の輝きとなっている。
そんな兄は幼い頃から王族の立ち振る舞いをさせられ私情を挟む事は許されなかった。
しかし父は私の母が死んでも涙おろか言葉も何もしなかった。
兄は母が死んだ事を怪しみ色んな情報を集めて殺された事を私に伝えてきたのだ。
殺しの命令を出したのは第一妃だった。
前々から平民は気に入らないらしく陰口を叩いていた、その上私達に出会うとすぐさま執事などを呼んで追っ払ってくるのだ。
そんな姿を見て母はよく謝って頭を撫でてくれた。
『私が王様の妃にならなければこんな事にはならなかったのにごめんなさいね。』
そんな母があの女に殺されたと知った時私は激怒し父に詰めよろうとした、しかし兄はあの女を暗殺したとも私に言ってきたのだ。
その時の兄の顔は怒りとか悲しみとか色んな表情をしていた。
『ああ、我が母を殺した女を殺せたのは嬉しかった。しかし虚しいものだな、あんなに憎たらしい女を殺せたのに復讐というのがこんなにあっさりとしてしまって。』
そしてそのまま兄はこうも言った。
『父もまさかこんな事になっているとは思わないだろうね、私達の母を殺したのはあの女でその女を殺したのは私だって事に。』
『でも兄上、あの人は私達の母には涙も流さないであの女の時は泣いていた。それは屈辱です。』
『屈辱・・・・・・屈辱か。』
『はい。あの人は私の母の為に泣いてくれなかった、もし泣いてくれていたら又は言葉をかけてくれてさえいれば私はここまで怒りませんでした。』
『そうだね、父は母の事は正直どうでもよかったらしかったらしい。貴族にせめて一人でも側妃を作れと言われてお忍び中に母を見つけて結婚したぐらいだ。そして強引に結婚させたらしい。』
『・・・・・・・・・・・・は?』
それはあまりにも侮辱が過ぎた。
母は母なりに頑張って妃を演じていたし私達も頑張って王族を支えて行こうと思った。
それなのにその仕打ちは何だ?
反吐が出る。
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