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第11話 土日のボク達
世界は暗号で満たされている。
同じものを見ても、感じ方は人それぞれなのは、この暗号のせいだ。
ボクは、他人からどのように見えているのだろうか?
前にも言ったように、土日になるとボクとお父さんは温泉旅館やホテルに泊まっている。
別にどこかのお母さんの家で良いと想うのだが、
「依怙贔屓は良くない。同じように愛情を注がないと」
とお父さんが言うから、こんなローテーションになっている。
最近では、ボクもクラスメイトの女子達を追い抜く身長になってきたから、しばらく前から男の子として宿泊するようになっていた。
とは言え、ロングヘアーをショートヘアーのウィッグに隠すのは結構大変で、しかも髪が洗えない。
準備できない時(忙しい時)は、女の子として都内のホテルに、
時間に余裕がある時は、男の子として温泉旅館に泊っているという訳だ。
週末のホテル暮らしは、最近は、訳ありカップル、はっきり言えば援交に見られることもあり、とても不本意だ。
でも、人目を気にせず過ごせるし、部屋で髪も洗える。
一方で、郊外の温泉旅館は、ご飯も地の物をいただけるし、泉質も宿によって違うから楽しい。
ただ、広い男湯で長湯できるが、部屋にシャワーなどがないと髪が洗えない。
髪の長い男性もいるが、ボクほど長い髪の持ち主はいないし、体つきが華奢だから、やはり長い髪は封印しておきたい。
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