俺の夢の在り方

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夢である専門学校へ進学出来たとして、そこでの生活資金は全て自分で賄う事、母を頼らず精一杯遣れるだけの事をする事を条件として夢を追う事を許された。 高校生でいられる残り1年の間にバイトをして貯蓄するとか、炊事洗濯掃除の仕方を覚えたりなど、いろいろと母と計画を起て実行し始めた。 春には入学したい学校へ体験入学しに行き、入居可能なアパートを斡旋してもらい下見をしたり、少しずつ俺の言葉が現実へと形造られていく。 『声優になりたい』 これは俺が小学生の頃に母が話してくれた、母の学生の時に思い浮かべた夢の1つだ。 母は現実を生きる事を選び、後悔はないようだが、俺は嬉々として活躍する声優の話しをする母の姿を傍らに見ていて、 (こんな風にどこかで誰かを楽しませる事の出来る職業か……いいな) という漠然とした思いを抱き続けていた。 あの日まで、口にした事など無かった。 それを現実にする事が出来る。 進学への下準備が整い始めるが、俺は春に始めたバイトを2ヶ月で早々(はやばや)と止め、貯金する事もなく高校生活を謳歌、友人と夏も冬も遊び倒した。 当然、新天地での生活資金などゼロだ。
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