俺の夢の在り方

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高校卒業間近、母は呆れた様で目を吊り上げていた。 入居資金も生活資金も無いのだ、貯めて自力で遣ると約束した事が守れなかった。 これじゃ一人暮らしなど始めても直ぐに頓挫してしまうだろう。 そんな事、目に見えていて母の頭を悩ませた。 それでも母は『止めろ』とか『無駄だ』なんて言葉は吐かなかった。 ただ呆れて深く大きな溜め息を吐き出し、カードローン、つまり借金をしてまで俺の生活資金を集めてくれた。 なんとかしてくれると思っていた自分がいた。 お陰で専門学校近くのアパートへ予定通りに入居でき、1ヶ月の生活に困らなかったけど、 「来月分は今月からバイト始めて何とかしろ!」 とキツいお達しを残し、母は淋しげに自宅へと帰って行った。 母が帰宅した後、静まり返ったアパートで荷ほどきの続きを始めた俺は衣服の間に挟まれた封筒を目にして、頬を殴られた気分だった。 中に2万円が入っていたんだ。 『無理するな』の一言とともに。 ……帰郷出来る交通費の片道分だった。 もちろん、これを使えという訳ではないと直ぐ様理解出来た。 以降、気合いを入れ直した俺は学校の授業もバイトも手を抜かず必至になってやった。
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