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今の世の中でも、成りたい職業や遣りたい職業に就けるなんて事は稀だと思う。
その気になれば遣れない事なんてないのだと、そんな夢みたいな事に邁進するなんて愚かだなんて口にする人は少なくない。
絶対に手にしてみせる!という気概があるかないか。
壁にぶつかった時にどんな態度でどんな考えを以て何をするか、自分が手に出来るなんて夢のまた夢だと頭の片隅で解っていても、遣れるだけの事は遣ってから後の事は考えればいい。
『幾つになってもやり直しは利くんだよ』
母の口癖だ。
声優になるための専門学校での授業は遣りたい事だったからなのか、常に新鮮で楽しいものだった。
演技など全く知らなかった俺はマイナスからのスタートだったけど、年中行事の発表会では連続して準主役の座を勝ち取った。
他のクラス製作作品のキャラクター声優にも抜擢されて、自信となった。
けれど卒業後、何千人と云われる声優業界で役を勝ち取れるのかと言われれば、それは難題だ。
学校を出れば芸能事務所に入り、研修生として金を支払いながらまた勉強していく。
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