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5、 判決
「……以上の理由を以って、被告人を死刑に処する」
慶次は判決を聞いたとき、不敵な笑みを浮かべた。
大病院の小児科病棟で起こった大量殺人事件。死者の数は12人にも上り、死者の年齢は2歳から10歳の子どものみ。日本中に戦慄を走らせたこの事件はワイドショーで連日に渡って報道された。手口が点滴に毒物を仕込むというある程度の医学知識を要するものであったため、勤務経験のある高橋慶次が捜査線上に浮上。逮捕に至った。
慶次は犯行をあっさり自供。動機については
「余命1年の父親の晩年を汚してやりたかった。それと、大人になっても不幸になるだけのこの子供達が不憫だったから殺した」
と語っている。
なお、慶次は医師免許を持ってはいるが、警察の取り調べで職業を尋ねられると、決まってこう言っていた。
「俺は医師ではない。アサッシン(暗殺者)だ」
大病院である高橋総合病院での前代未聞の不祥事、しかも院長の息子が引き起こした大事件ということで、週刊誌は一斉に院長である慶介を袋叩きにした。
慶介は記者会見で「犯人の責任に過ぎず、自分は悪くない」という趣旨の発言をしたこともあり、非難の嵐はさらに吹き荒れることとなった。
慶介はこの一件でストレスが重なったのか事件後1ヶ月もしないうちに病死。この事件があって退院と転院が相次いだこともあり、高橋総合病院は事実上の解体となった。
獄中で父親の死を知らされた慶次は微動だにせず、落ち着き払っていた。
「お父さんに、何かないのか?」
取り調べ刑事がそう尋ねたとき、慶次はこう言ったという。
「呪うなら自分を呪え」
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