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 よくあさシンデレラ一行は鬼が島にむかって出発しようとしました。「これをはいていくといい」、魔法つかいが持たせてくれたガラスのくつをたずさえて。  ところが「こまったわ」とシンデレラはいいます。 「どうしたんだい」 「あなたたちが食べてしまったから、かぼちゃのばしゃがないわ」  おなかのすいた三匹は、シンデレラがドレスにきがえているあいだにすっかりかぼちゃを食べつくしてしまったのでした。 「しょうがないさ。おなかがすいていたんだもの」 「今だってそうだ。はらぺこで鬼が島なんていけやしないよ」 「なんだって魔法つかいはきびだんごをもたせてくれなかったんだろう。ガラスのくつはおいしくないときいている」  そういいながらも、きらきらしたくつをながめて、鳥はぺろりと舌なめずりをしました。 「ほんとにそのとおりね。このくつじゃとおくまで歩けそうもないわ」  シンデレラはそういうと、ガラスのくつをぽいとぬぎすてました。 「鬼が島まであるいていくわよ。舞踏会ではごちそうがでるわ。たべたい子だけ、わたしについていらっしゃい」  けっきょく、先頭をきるシンデレラにつづいて、みんなであるいて鬼が島にむかいました。  鬼が島はとおく、ついたころにはすっかり日がくれていました。野をこえ山をこえ、賊とたたかい海をこえたシンデレラたちはぼろぼろの姿になりました。せっかくのドレスもだいなしです。ガラスのくつもありません。  岩のむこうには、人間も鬼も動物も、まねかれた全員がきれいに着飾っているのがみえました。円卓にはごうかな料理があふれんばかりに盛りつけられ、そのまわりを皆がくるくると舞い踊ります。 「どうしましょう。こんなみっともない姿じゃ出ていけないわ」 「そうはいっても」 「すいた腹にはかえられない」 「いいじゃないか。あんなにおおぜいいるんだもの。だれもこちらなんて気にしやしないさ」  おずおずと一行は輪に加わりました。きたならしい一人と三匹に、まゆをひそめるものはあっても、声をかけるものはいません。シンデレラは、いたたまれない気持ちになりながら下をむいていました。  そのときです。 「おじょうさん」  顔をあげると、世にもおそろしい、みにくい顔をした鬼が立っていました。
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