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耳元で、誰かが喋った。女の子の声だった。
顔を上げると、ベンチには赤いランドセルを背負った小柄な子どもが座っていた。いつの間に。
きっちりと結われた少女の三つ編みが、かるく揺れる。
「手を、はなしてくださいと、おねがいしているのですが?」
少女に目線でうながされ、自分の手元を見る。彼女の細い手首を、俺の無骨な手がしっかりと掴んでいた。「悪りィ」と、とりあえず謝っておく。俺から解放された少女は、自分の手首をさすりながら鼻を鳴らした。
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