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月子の瞳から、大粒の雫がこぼれていた。
降り止まない今日の雨のように、地面に染みをつくる。
「かえりたい……。月子もかえりたい。月子のこころはまだここにいるのに、きづいてほしいのに、パパはおむかえにきてくれないの。あかり……、あかり。たすけてよぅ……!!」
少女は泣いた。子どもらしく、大声で泣きじゃくった。
「ったく、だから言っただろ? 送ってやるって。ほら、おいで。帰ろう。おまえの家へ」
月子は、目の前に差し出された俺の手を握った。
今度は迷わずに、しっかりと。
「……おやすみ。月子」
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