さやま遊園の妖精

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「妖精って、背中に羽があると思ってたよ」 僕が適当に返すと、おっさんは身体をゆすりながら、ケラケラ笑いだした。 「いまどき、そんな妖精おるかいな。テレビの見過ぎとちゃうか? それは、むかしむかしの花の妖精やんけ」 「だったら、あんた。なんの妖精なんだよ」 「わしか? わしは、さやま遊園の妖精や」 おっさんがズボンのポケットから、しわくちゃの紙切れを出してきた。 それには「妖精認定証」と書いてある。 「なっ!」と、おっさんの鼻がふくらんだ。 顔写真があった。髪をふわっとよい感じに整えて、目は細いが理知的で、色白のなかなかの美男子。 「これ、わしやぞ」 おいおい。
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