さやま遊園の妖精

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なんと、まぁ、しらじらしい奴なんだ。 「吸います?」 僕がタバコの箱をさしだすと、 「すまんなぁ」 おっさんはそこからタバコを三本も取りだし、袋にささっとしまい込みやがった。 「兄ちゃん、仕事なにしてんねん」 「いまからハローワークに行くところです」 って、いうか。 せっかくあげたんやから吸えよ。 「失業中か? わしと一緒やな」 僕は、自分で自分のタバコを買っている。 結論。一緒にするんじゃない。 おっさんは、かれこれ八年も働いていないらしい。そんなにも仕事しないで、よくまぁ、生活ができるもんだと、ある意味うらやましい気もする。が、早く仕事を見つけないと、明日(あす)はわが身かもしれない。
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