6 氷の女王(つづき)

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成績が良く、問題さえ起こさなければ 文句も言われなかった学生時代とは異なり、 社会に出てからは、この性格にダメ出しと小言ばかり。 その上、いつの日からか、こっそり厄介者扱いすらされる日々。 無論、「仕事が出来る」と言われたことなど、一度たりともない。 それなのに目の前の小谷は、沙紀に 仕事が出来るのだから、そのままでいいと 彼女の社会人人生始まって以来、初めての事を言ってきた。 そして、そんな彼に沙紀の心が傾き、開いていくのに時間はかからなかった。 自然と、同僚から近い同僚になり 近い同僚から間もなく、彼らは恋人同士になっていた。 そして、彼らが職場には内緒で付き合い始めて、半年余り。 ある日のデートで、崇がポツンと呟いた。 「俺、転職しようかなって考えてるんだ」
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