6 氷の女王(つづき)

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えっ?  思いも寄らない事を唐突に言われ、沙紀は、にわかに混乱した。 しかしその一方で、冷静になろうとする自分が言葉を紡ぐ。 「何か、やりたい事でもあるの?」 「うん……」 そして彼が語ったのは、ずっと彼の胸の内に収めてきた、ある夢のこと。 「俺が生まれ育ったのは、小さな山間の村でさ。 今じゃ、人口の半分以上がお年寄り。 けど、昔から林業と農業に頼ってきた所だから、それの高齢化が進んでも 目立った産業もなくて、過疎化が進む一方」 しかし大学進学で村を離れて以来、彼は ずっと、その故郷をなんとか元気に出来ないかと考えていたという。 「それでさ、この前ちょっと見付けてね」 その見付けたものとは、「自然学校」を展開するNPOだという。
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