6 氷の女王(つづき)

14/24
前へ
/38ページ
次へ
「そこで話を聞いてみると、あの村と似たようなケースっていうのは、 今の日本じゃ結構あるらしいんだ。 だったら俺の田舎の村も含め、そんな場所を 『自然学校』で元気にする手伝いができないだろうかって、思ってさ」 そして彼は、そのNPOのフランチャイズ化に一役買いつつ、 自然学校の講師となるべく学びたいと語る。 しかしそれを聞いた沙紀は、再び大きく戸惑った。 「もしかして転職したい先って、そのNPOなの?」 「うん」 「それで転職したら、東京を離れるの?」 うん、たぶん。 真っ直ぐに視線を向けたままの彼の横顔を見つめ、沙紀は完全に困惑した。 しかし、そんな彼女の目の前に、ゆっくりと彼の視線が向けられる。 「俺さ、いつか自分の田舎に自然学校を作って、 一年を通じて、都会から人々が自然を味わいに来てもらえるように したいと思うんだ」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加