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何もない田舎には、逆に言えば、都会にないものがたくさんある。
それを、サービスとして提供できる仕組みを作りたい。
彼の真剣な声が、そんな夢を語る。
そして、
「それでさ、もし沙紀さえ良かったら、一緒に転職しないか」
えっ?
だが沙紀は、またしても言葉を失くして彼を見つめ返すしかない。
そんな彼女に微笑んだ彼の瞳は、熱いものを浮かべてキラキラと輝いていた。
「もちろん、NPOが派遣するのは人材だけで
運転資金は、わずかな寄付と派遣先の自治体持ちになる。
だから、決して懐事情は良くないと思うよ。
でも、そこで一年間頑張ってノウハウを学んだら
俺の故郷に、これを持っていける。
だけど、いずれにしても沙紀にとっては故郷を離れることにもなるから、
簡単に決められないだろうとも思う」
でも、今よりも夢がある。
自分に向けられる恋人の目に、更なる熱が帯びた。
「どうせ人に喜んでもらえるなら、
もっとたくさんの人が喜ぶ事がしたいんだ」
そして、「考えてみてくれないかな」と誘ってくる。
しかし沙紀には、やはりその場で彼に頷くことはできなかった。
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