6 氷の女王(つづき)

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確かに、今回のボランティアで 休日希望を出していたのは、山本と大学生三人組のみ。 つまり他の面々にとっては、ここに来て以来の休みとなるのだから 多少なりとも、解放感みたいなものはあるのかもしれない。 だが一方で、この祭りの期間はペンションも本来は休みとなるため 週末のサービスは、土曜の朝食のみ。 風呂もシャワーは昼から自由に使えるが、清掃が入らないため湯船は空。 電子レンジと湯沸かしポットは使用できるが、 土曜の朝食以外の食事も自分で調達するしかないという側面もある。 しかし、これは事前に知らされていた事なため、誰からも文句は出なかった。 「ねぇ、日辻くん。私たち、田中くんたちと一緒にお祭りに行くんだけど、 日辻くんも一緒にどう?」 隣のテーブルでは、専門生の木下が相席に誘った日辻という大学生に 少しウキウキした声で尋ねている。 そして、今や当然のような顔で向かいの席に並んだチャラ男二人からも、 沙紀は似たような事を言われた。 「姐さん。明日の祭りは、ひと風呂浴びてからですよね?」
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