6 氷の女王(つづき)

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だが沙紀は、誘ってきた佐々木をチラッと見遣って、短く返した。 「お祭りは、行かない」 「へっ? 行かないんすか?」 うん。 沙紀は、黙々と食事を口に運びつつ声で頷く。 「じゃあ、盆踊りっすか?」 そして、今度聞いてきた久保田にも、沙紀はやっぱり短く返した。 「それも行かない」 それに、目の前の二人は少し怪訝そうな面持ちになり、 チラリと互いの視線を交わす。 「あの、姐さん、祭り嫌いなんすか?」 「別に」 「じゃあ、行きましょうよ」 尚も誘ってくる二人に、沙紀は少しだけ箸を持つ手を止めた。 「私、別に用事があるから、どっちも行かない」 ところが、ここまで言っても 沙紀の醸し出す空気を彼らが読むことはなかった。
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