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だが沙紀は、誘ってきた佐々木をチラッと見遣って、短く返した。
「お祭りは、行かない」
「へっ? 行かないんすか?」
うん。
沙紀は、黙々と食事を口に運びつつ声で頷く。
「じゃあ、盆踊りっすか?」
そして、今度聞いてきた久保田にも、沙紀はやっぱり短く返した。
「それも行かない」
それに、目の前の二人は少し怪訝そうな面持ちになり、
チラリと互いの視線を交わす。
「あの、姐さん、祭り嫌いなんすか?」
「別に」
「じゃあ、行きましょうよ」
尚も誘ってくる二人に、沙紀は少しだけ箸を持つ手を止めた。
「私、別に用事があるから、どっちも行かない」
ところが、ここまで言っても
沙紀の醸し出す空気を彼らが読むことはなかった。
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