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「えっ? じゃあ、お手伝いします」
「バシリでも、何でもやりますよ」
そしてこれは、もう沙紀にとって明らかに領域侵犯だった。
だから彼女は、ぴしゃりと二人を遠ざけた。
「これは、あんた達には関係ないこと。だから、放っておいて」
えっ……。
目の前で、あからさまに二人のチャラ男が凍り付いた。
それと同時に、彼女たちの間の空気もギシッと凍る。
ほんのわずかの間、三人は箸を持ったままで固まったように
互いに、ぎこちない視線を向けていた。
それを、そっと破るように沙紀の隣に座る宮田が、やんわりと口を挟む。
「ま、せっかくのお休みだから、
みんな、それぞれで楽しめばいいんじゃない?」
そして、「お祭り、おばちゃんと一緒に行く?」と
お茶目にチャラ男たちを誘う。
それに、どこか呆然としていた佐々木たちが「あ、……はい」と
コクンと頷いた。
「うん。じゃあ、一緒に行こう」
淡く苦笑を浮かべつつ言った宮田に、目の前の二人が黙って頷き返す。
それを目に、沙紀は、再び箸を動かし黙って食事に戻っていった。
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